いびき・昼間の眠気の原因は?
日中眠くてしかたがないという症状の原因は様々です。抗アレルギー薬や鎮痛剤などの薬物によるもの、甲状腺機能の低下、低血圧、うつ病などの疾患が原因のこともありますが、睡眠を十分に取れていないことが原因の睡眠不足症候群であることも多くなっています。
夜間の睡眠不足の原因としては、物理的な1日が24時間であるのに対し、人の体内時計の1日が25時間であることの差分の調整をうまくできず、睡眠時間がずれていってしまう概日リズム睡眠障害や睡眠時無呼吸症候群、じっとしていると足がむずむずして眠れなくなってしまうむずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)なども考えられます。
また、覚醒している状態で必要な脳内物質のオレキシンを作り出す細胞が働かなくなって、なんらかのきっかけでその塲で睡眠発作を起こしてしまうナルコレプシーという疾患も有名で、日本では500人から1000人に1人程度の有病率があるといいます。
いびきや無呼吸は病気のサイン?
人は誰でもいびきをかくことがありますが、いびきが突然激しくなったり、常態化してしまったりしているようなら、何らかの疾患のサインという可能性もあります。
横になると重力の影響で舌や軟口蓋など口の奥の組織が下がり、さらに眠ることによってさらに筋肉の緊張が緩み、空気の通り道を塞いでしまいます。そこで、狭くなった部分に無理矢理空気を通そうとすることでいびきをかくことになると考えられています。つまりいびきは空気を通すために無理に力を入れて呼吸をしている状態で、当然睡眠は浅くなってしまいます。
いびきがひどくなる要因としては、
- 加齢による筋力の低下
- 肥満による舌や軟口蓋組織の肥厚
- 口呼吸によって舌が下がりやすくなっている
- 顎の後退、軟口蓋が長い、扁桃肥大といった形態的問題
- 飲酒による筋肉の緩み
などが考えられます。
さらに、気道の閉塞が悪化し、いびきといびきの間に呼吸が止まってしまう睡眠時無呼吸症候群になると、日中の過眠症状だけではなく、血中酸素の低下から血管に障害を起こすなど様々な危険性でてきますので注意が必要です。家族からいびきの常態化などを指摘された場合は、一度当院までご相談ください。
睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、眠っている間に10秒以上呼吸が止まってしまったり、呼吸が少なくなったりすることが1時間に5回以上繰り返されることが続いている状態と定義されています。
睡眠時無呼吸症候群のうち閉塞性のものはいびきをともなうことが多く、激しいいびきが突然静かになった時に無呼吸または低呼吸が起こっています。
無呼吸または低呼吸によって血中の酸素濃度が低下し、息苦しくなることから、眠りが浅くなったり、途中で目が覚めてしまったりして、睡眠の質が大きく低下します。そのため日中の過眠の主な原因疾患となっています。
睡眠時無呼吸症候群は近年増加傾向にあり、日本人では100人に2人程度という報告があります。
熟睡できていますか?朝眠いならご相談ください。
以下の要な症状がある場合、睡眠時無呼吸症候群が疑われます。お早めに当院までご相談ください。
- 睡眠中何度も呼吸が止まる・浅くなる
- 頻繁に目が覚めてしまう
- ひどいいびきをかく
- 呼吸を求めてあえぐような声を出す
- 日中の寝不足感、強い眠気
- 起床時の頭痛(30分程度で解消)
- 集中力の低下
いびき大きくて日中眠気がある?
たとえ睡眠時無呼吸症候群ではなくても、いびきをかく人はいびきをかかない人と比べて日中の過眠(眠気)の傾向が高く、またいびきが激しいほど日中の過眠が強いという報告もあります。
今のところいびきと日中の過眠の関係は完全に解明されているわけではありません。しかし、いびきをかくということは、気道のどこかで空気の通り道が狭くなっていて、無理矢理空気を送り込もうとすることが原因です。十分に肺に空気が取り込まれないことで、血中酸素が不足し、血中炭酸ガスが上昇すると、化学的刺激による覚醒反応が発生してしまうことや、いびきの原因となる気道の狭窄によって胸腔の圧力が上昇し、そのための機械的刺激によって覚醒反応が起こってしまうことが、いびきの激しい人が日中の過眠を起こしやすい要因ではないかと考えられています。
睡眠時無呼吸症候群は放置しても大丈夫?
睡眠時無呼吸症候群は、日中の過眠(眠気)、だるさなどはっきりと自覚できる症状だけが問題なのではありません。近年の研究によって高血圧症、糖尿病といった生活習慣病のリスクが一般の人より数倍も高くなることが判明しています。
高血圧や糖尿病などが恐ろしいのは、それらにはほとんど自覚症状が無く、気がついた時にはかなり進行してしまい、動脈硬化などの血管障害によって脳出血や脳梗塞、心筋梗塞など重篤な事態になりかねないことです。
日中に過眠がある場合や、ご家族にいびきを指摘されましたらお早めにご相談ください。