動悸とは
心臓がドキドキする拍動を感じられる状態で、脈が速い頻脈、脈が遅い徐脈、脈が不規則になるという3種類に分けられます。こうした拍動の異常は不整脈と呼ばれます。不整脈は健康な方にも起こる症状であり、心配のないものもありますが、放置してしまうと脳卒中や心筋梗塞など、深刻な疾患の発症につながってしまうことがあります。動悸や脈の乱れが気になったら循環器内科にご相談ください。
動悸の原因
動悸の原因には、疾患、薬の副作用、脱水、飲酒などがあり、さらにストレスや緊張、過労や睡眠不足などで生じることもあります。薬の副作用で起こっているかどうかを判断するためには、患者さんが普段服用されている全ての薬について知る必要がありますので、受診の際にはお薬手帳など服用している薬がわかるものをご持参ください。
不整脈
安静時の一般的な脈拍数は1分間に50~90程度とされています。不整脈の中でも、脈が速い頻脈は心臓にかかる負担が大きく、1分間の脈拍数が150程度になることもあり、その場合は発作性上室性頻脈が疑われます。頻脈が長時間続く、頻発する、頻脈にふらつきや意識消失をともなう場合はすぐに受診してください。また、頻脈に脈が乱れる不規則な脈拍が混じる場合は、発作性心房細動の可能性があります。この場合は血栓ができて脳梗塞を起こす可能性がありますので、早期の受診が重要です。
動悸の種類(動悸を伴う疾患)
脈が飛ぶ、乱れる、不規則になる
一定のペースで動いている心臓のリズムが崩れると、動悸として感じることがあります。自覚症状がない場合もありますので、健診などで心電図の指摘をされましたら、お早めに当院までご相談ください。
期外収縮
心筋を動かす電気刺激は洞結節でつくられますが、それ以外の場所から電気刺激が伝わって通常より速く心臓の収縮が起きています。正常な脈に混じって、少し速い脈が現れます。心電図検査で発見されることが多い不整脈であり、特に問題がないケースも存在しますが、心疾患の症状として現れている可能性がありますので、循環器内科を受診して確かめる事が重要です。
心房細動
心臓の上部を占めている心房が小刻みに震え、血液を送り出す心臓のポンプ機能が充分果たせなくなっている状態です。動悸、脱力感、めまいなどをともなうこともありますが、無症状で気付かないケースもあります。心房細動は心臓の中に血液が滞り、血栓ができるリスクがあります。この血栓が血流に乗って血管を詰まらせ、脳梗塞などを起こす可能性があります。
心拍が遅い徐脈
1分間の拍動が50以下と、心拍が遅いのが徐脈です。
洞不全症候群
脈が遅くなると全身に届く血液が不足し、めまいやふらつき、失神などを起こすことがあります。ただし自覚症状に乏しく、健康診断などで受けた検査ではじめてわかることも少なくありません。
房室ブロック
房室結節は、心房と心室の間にあって電気の流れをコントロールしていますが、この機能が低下して徐脈を起こすのが房室ブロックです。薬の副作用として生じることもあります。心臓病があって房室ブロックを起こしている場合には、速やかな受診が必要です。
心拍が速い頻脈
1分間に100以上と、心拍が速いのが頻脈です。
発作性上室頻拍症
突然、頻脈が起こって、数分から数時間続いた後で突然、正常な心拍に戻ります。強い症状がある場合には速やかな受診が必要です。頻脈は心臓に大きな負担をかけますので、症状が軽く、すぐ正常に戻る場合もご相談ください。
心室頻拍
心臓の下側にある心室に異常があって生じる頻脈です。30秒以上続き、血圧低下など重篤な症状を起こしている場合には緊急受診が必要になります。また、危険な心室細動を起こすことがあり、その場合にはAEDによる電気ショックなどによる救命が必要になることもあります。
動悸の検査
問診で症状の内容やはじめて起こった時期、症状の変化、起こるきっかけ、基礎疾患の有無や飲んでいる薬などについてくわしくうかがいます。胸部X線検査、心電図検査、心臓超音波検査、血液検査、24時間の心電図検査が可能なホルター心電図検査をなどから必要な検査を行っていきます。
動悸を感じた際には下記のことをチェックしましょう
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動悸を感じるきっかけや思い当たる原因
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動悸の症状の具体的な内容
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動悸の持続時間
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動悸の経過(急にはじまる・終わる、徐々にはじまる・終わるなど)
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1分間の脈拍数
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脈拍の規則性の有無(脈が飛ぶ・乱れる・不規則になるなど)
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脈の測り方(自己検脈)
脈の正しい測り方を覚えて、動悸が気になった場合には脈を確認しましょう。
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測るのは、手首の親指に近い側です。
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手首関節の少し下に、指で軽く触れただけでヒクヒク拍動を感じる場所があり、そこで測ります。
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拍動を感じる場所に人差し指・中指・薬指の3本を揃えた指先を軽く当てて、1分間の脈拍を測ります。
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繰り返し測るとコツをつかむことができ、それからはいつでも簡単に脈拍を確かめることができます。
※脈拍は、運動、食事、入浴、感情の揺れなどでも変化します。普段、安静時に測っておくと、異常があった際にすぐ気付くことができます。