健康診断で異常を指摘されたら
健康診断の結果は専門用語や略語・数字が並んでいてわかりにくいのですが、実際には将来の健康に役立つ情報がたくさん詰まっています。
- 健康診断で異常を指摘され、何をしたらいいのか知りたい
- 要経過観察・要精密検査・要再検査とあり、必要な検査を受けたい
- 受診しやすいクリニックで相談したい
- 健康診断の結果に気になることがある
こうしたお悩みや疑問がある場合はお気軽にご相談ください。
健康診断結果の意味と必要な対応
まずは、異常なし・要経過観察・要再検査・要精密検査・要治療などの意味や、対処法を説明します。なお、当院では幅広い検査や治療に対応しており、どんな結果が出ている場合もご相談いただけます。
異常なし
検査結果の数値が正常範囲内であり、特に問題ありません。
検査結果は短期間に大きく変化することもありますので、毎年1回の健康診断を定期的に受けましょう。
要経過観察・要再検査
検査結果の数値が基準値の範囲に収まっていませんが緊急性が高いわけではありません。ただし、指定された期間までに再検査を受ける必要があります。
要精密検査
疾患の可能性があり、診断のために詳細な検査を受ける必要がある状態です。当院でも様々な精密検査に対応していますのでご相談ください。
要治療
治療が必要な数値が出ており、早めに受診する必要がある状態です。診察を受けて適切な治療を受けてください。
健康診断の検査項目
血糖値(BG・HbA1c)
糖尿病の診断やリスクを知るために行う検査項目です。糖尿病は進行すると動脈硬化・脳卒中・心筋梗塞などのリスクとなり、失明や足の壊死、腎不全などの合併症を起こす可能性があります。
BGは検査を受けた時点の血糖値であり、HbA1cは過去1~2か月の平均血糖値です。HbA1cの数値は、正常範囲が4.6~6.2%、糖尿病の可能性を否定できない状態が6.0~6.4%、糖尿病が強く疑われるのは6.5%以上となっています。
当院では、糖尿病の治療に加え、グレーゾーンの方のための健康相談や生活習慣改善のアドバイスなども行っています。
血圧
高血圧の有無やリスクを知るために行う検査項目です。高血圧は進行すると動脈硬化・脳卒中・心筋梗塞などのリスクとなり、特に脳出血では高血圧が最大のリスク要因とされています。
診察室血圧が140/90mmHg以上が続く場合、高血圧と診断されます。大きい数値は収縮期血圧、小さい数値は拡張期血圧であり、片方だけ基準値を超えた場合も高血圧とされます。なお、血圧はリラックスできる家庭で測った場合は低く出やすい傾向があり、家庭血圧の場合の高血圧は、135/85mmHg以上とされます。いずれにしても、1回血圧を測っただけで高血圧と診断されることはなく、経過を観察した上で診断されますので、基準値を超えたらご相談ください。高血圧は原因疾患があって生じていることもありますので、原因を見極めてから食事療法や運動療法を行っていきます。
コレステロール(LDL・TG)
脂質異常症の有無やリスクを知るために行う検査項目です。脂質異常症は進行すると動脈硬化・脳卒中・心筋梗塞などのリスクとなり、血栓による血管の閉塞リスクを上昇させます。
HDLは善玉コレステロール、LDLは悪玉コレステロール、TGは中性脂肪です。LDLコレステロールは140ml/dL以上、HDLコレステロールは40mg/dL未満、中性脂肪(TG)は150mg/dL以上で脂質異常症とされます。
尿酸(UA)
高尿酸血症の有無やリスク、痛風発作発症のリスクを知るために行う検査です。高尿酸血症は、痛風以外にも腎臓病や尿路結石、動脈硬化の発症リスクを上昇させます。
尿酸値が高いと痛風を発症するリスクが高まります。また、腎臓病や動脈硬化の発症リスクも高まります。尿酸値7.0mg/dL以上の場合に、高尿酸血症と診断されます。
尿蛋白・尿潜血
腎臓の状態を把握するために行う検査項目です。尿蛋白は1回だけ異常が出ても疾患が隠れている可能性は低く、異常が続いた場合に腎機能障害が疑われます。尿潜血は、尿に微量の血液が混じっていないかを調べる検査で、陽性の場合は腎炎・尿管結石、腎臓や尿路の悪性腫瘍などが疑われます。
肝臓(アルブミン・ビリルビン・AST・ALT・γGTP・ALP)
肝臓の状態を把握するために行う検査項目です。肝臓は状態がかなり悪化しないと症状を起こすことがなく、数値に異常があった場合には早めに受診してしっかり調べてもらうことが重要です。
貧血(血色素量・赤血球量・ヘマトクリットなど)
貧血は消化管からの出血によって生じることがあり、男性に起こることも珍しくありません。貧血の症状は単なる体調不良と捉えられて見逃されることが多いので、健康診断で貧血を指摘されたらできるだけ早く原因を確かめる必要があります。なお、女性の場合、婦人科系疾患の可能性も考慮する必要があります。
膵臓(アミラーゼ・リパーゼ)
膵臓機能低下の有無を把握するために行う検査項目です。
アミラーゼとリパーゼは消化酵素であり、膵臓から分泌されます。アミラーゼとリパーゼの数値が低い場合は膵臓機能低下が疑われます。膵臓機能低下は、慢性膵炎や膵臓がんなどで起こることがあります。
ピロリ菌陽性
ピロリ菌感染の有無を確かめる検査項目です。ピロリ菌に感染していると慢性的な胃炎が続いて、胃がんリスクの高い萎縮性胃炎を発症する可能性があり、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発を繰り返すこともあります。ピロリ菌の除菌治療を成功させると炎症や潰瘍の再発率を大きく下げることができ、胃がんリスクを低下できます。胃カメラ検査が必要になりますので、当院では連携している高度医療機関をご紹介しています。
便潜血陽性
便に微量の血液が混じっていないかを確認する検査で、大腸がんのスクリーニング検査として行われています。陽性になった場合には、早期大腸がん発見が可能で、確定診断できる唯一の検査である大腸カメラ検査を受ける必要があり、当院では連携している高度医療機関をご紹介しています。なお、大腸カメラ検査で将来がん化する可能性のある大腸ポリープが見つかった場合、その場で切除して将来の大腸がん予防につなげることができます。