動脈硬化とは
血管の柔軟性が失われて硬く、もろくなる進行性の疾患です。血圧によるダメージを血管が強く受けるようになり、進行すると動脈瘤や血管の狭窄・閉塞などを生じて、心筋梗塞や脳卒中などの発症リスクが上昇します。動脈硬化は、高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病によって進行し、内臓脂肪型肥満があり複数の生活習慣病を合併しているメタボリックシンドロームの場合、それぞれの数値がそれほど悪くなくても動脈硬化が進みやすいことがわかっています。
動脈硬化は中高年の病気というイメージがあると思いますが、血管の動脈硬化は10歳前後にはじまるとされています。自覚症状なく徐々に進行しますので、毎年の健康診断結果を残しておき、変化を見比べてリスクを知ることが重要です。また、動脈硬化や生活習慣病について知ることで、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)を低下させずに予防することも可能になります。
閉塞性動脈硬化症
足の動脈硬化が進行して動脈の狭窄や閉塞が起こり、血流が不足してしまう病気です。冷え、だるさ、足の痛み、しびれ、むくみなどの症状を起こします。最初は歩行時に症状が起こり、進行すると安静時にも症状が現れるようになります。
動脈硬化と高血圧
血圧は心臓の収縮期には高くなり、拡張期には低くなります。こうした血圧に合わせて動脈の血管が柔軟に収縮・拡張することで血液は全身へスムーズに運ばれます。高血圧は血管に大きな負担をかけ続けて動脈硬化を進行させますが、動脈硬化があると血管の収縮・拡張が不十分になって高血圧を進行させます。動脈硬化と高血圧は互いを悪化させる負のスパイラルを持っています。
動脈硬化と高血圧が進むと、血管の破裂、動脈の狭窄や閉塞などを起こす可能性が高くなります。大動脈瘤や脳動脈瘤がある場合、破裂の危険性も高まります。こうした障害が起きた場所や内容などによって、脳出血・脳梗塞などの脳血管障害、狭心症や心筋梗塞などの心疾患を起こします。
主な原因と予防、進行防止
動脈硬化を進行させて動脈の狭窄や閉塞など深刻な状態にしてしまう主な原因は血液中の悪玉LDLコレステロールの過剰であり、自覚症状なく進行する脂質異常症のコントロールが最も重要になってきます。また、高血圧も動脈硬化進行に大きく関与します。他にも、糖尿病、肥満、喫煙は動脈硬化進行の大きなリスク要因です。内臓脂肪型肥満に加え、高血圧・脂質異常症・糖尿病の2つ以上があると動脈硬化の進行がさらに速くなってしまいます。健康診断などでこうした異常を指摘されている場合にはできるだけ早く適切な治療が必要です。